FUJIFILM「X-Pro2」5年使用レビュー。今もこれで撮りたいと思わせてくれる魅力を語る【作例あり】

FUJIFILM「X-Pro2」5年使用レビュー。今もこれで撮りたいと思わせてくれる魅力を語る【作例あり】

2019年5月8日

当時長期の海外一人旅で出ようと決め、その相棒となるカメラを見つけるために訪れた大阪梅田のヨドバシカメラ。使い古されたボロボロの「X-Pro2」が掲載された冊子を見て、心惹かれたことを覚えています。

そこから日本、海外問わず「X-Pro2」使い続け、気づけば5年経とうとしています。5年以上使い続けるもの自体が少ないので、なんだか感慨深い。

機能面が抜群に秀でているわけでもない。性能だけで見れば、他にもたくさんの選択肢があるのは周知の事実。それでもこのカメラを長年使い続けているのは、言葉で形容しがたい魅力が詰まっているからです。

「X-Pro2」とはどんなカメラなのか。今回は5年使用して感じた魅力や気になるところ、作例などを、余すことなくお伝えしていけたらと思います。

FUJIFILM「X-Pro2」とは

「X-Pro2」は同じフラッグシップモデルである「X-H1」や「X-T2」と同等のセンサーを持つカメラです。Leica Mシリーズと同じレンジファインダースタイルのデザインが特長の、フラッグシップ機のひとつ。

小ぶりな単焦点レンズと相性がよく、ストリートスナップに適したカメラでもあります。今では後継機である「X-Pro3」が発売されてますが、僕は引き続きこのカメラを使い続けています。

FUJIFILM「X-Pro2」を選んだ理由

当時は長期の海外一人旅に出るため、カメラ機材もより軽く小さいものに切り替えたいと思い、一眼レフからミラーレスカメラの乗り換えを検討していました。

そんなときに目にした「X-Pro2」のレンジファインダースタイルのデザインと、実際撮ってみたときの富士フイルムの色味に惹かれ、購入を決めました。

FUJIFILM「X-T2」ではなく「X-Pro2」を選んだ決め手

同じフラッグシップ機に「X-T2」もありますが、基本的にセンサーは同じなので、撮れる写真はほとんど変わりません。いちばんの違いはデザインや操作性。

とくに連写性能やチルト式液晶がある点など、トータルの機能面は「X-T2」が良いですが、それらの機能差は許容の範囲内でした。

長く使い続けるカメラはどちらか考えたとき、使い込めば使い込むほど味が出るデザインなど、表に出てこない魅力を持ったX-Pro2に軍配が上がりました。

  • レンジファインダースタイルのカメラがほしかった
  • デザインやシャッター音を含め、撮りたいと思わせてくれるカメラだった
  • 持ち運びがしやすく威圧感のないカメラがほしかった

最終的な決め手はこんな感じでしたが、購入してからというもの、撮影する予定がない日も含め、持ち歩く頻度が多くなりました。とくに気軽にスナップを撮影するようになったのは大きな変化。

FUJIFILM「X-Pro2」のデザインの魅力

①空間に溶け込む「レンジファインダースタイル」のボディ

一眼レフカメラの欠点は、撮影を生業としていない人からすると、コンパクト性に欠けることや、多少の威圧感を与えてしまうこと。

そんな悩みを見事に解消してくれるのが、レンジファインダースタイルのカメラだと考えます。カメラを構えても仰々しくなく、威圧感をあまり与えない点は、ストリートスナップにも最適。

凹凸のないフラットな形なので、普段使いのバッグでも持ち運びやすいんです。装いや空間に溶け込むデザインは、他のカメラには形容しがたいものだと感じます。

②黒塗装に包まれたマグネシウム合金

防塵・防滴・耐低温構造はもちろん、堅牢性にも申し分ない、フルマグネシウム製のボディ。ひんやりとした金属の感触が、手になじみます。

黒のフラットな塗装に包まれたマグネシウム合金のおかげで、塗装が剥がれてきても様になっていく様子は、撮る楽しみを増幅させてくれます。

③撮りたいと思わせてくれる「シャッター音」

カメラを選ぶとき、マニュアルに書かれた機能面ではなく、撮りたいと思わせてくれるシャッター音かどうかが、大切だと考えます。

どれだけきれいに撮れたとしても、気分が上がらなければ、撮ることすらままならないからです。その点X-Pro2はちょうどいい。一眼レフほどの豪快さはないけれど、チープではない。

スマホでも十分きれいな写真が撮れるようになったいまだからこそ、画質に加えて、撮る楽しみを与えてくれるカメラを使っていきたいと思いました。

FUJIFILM「X-Pro2」の操作性の魅力

①直感的に操作できる「物理ダイヤル」

シャッタースピード・露出・ISO感度など、基本的な設定はすべて、物理ダイヤルで調整します。すべての設定を目視で確認できるので、あらゆるシーンで素早く撮影できます。

とくにファインダーを覗きながら、素早く露出を合わせれるのが便利ですね。シンプルな操作性に慣れてしまうと、なかなか他のカメラに戻れません。

②楽にピント合わせできる「フォーカスレバー」

ボディ背面についたフォーカスレバーも、タテ・ヨコ・ナナメに素早く、直感的にフォーカスポイントを指定できます。

手持ちの撮影ではあまり使うことはありませんが、構図を保ったまま焦点位置を移動させる、三脚固定の撮影やブツ撮りに重宝しています。

③安心の「デュアルカードスロット」

SDカードを2枚挿入できるデュアルカードスロットも搭載。スロット1のみ、書き込み速度に優れた「UHS-II規格」に対応しています。

連続記録やRAW・JPEGの振り分けにも対応。僕の場合、書き込み速度の速いスロット1にRAW、スロット2にJPEGを保存するようにしています。

FUJIFILM「X-Pro2」の気になる点

①ファインダーがすこし見にくい

これはX-T2と比較して感じたことですが、X-T2や一眼レフと比べると、若干ファインダーが見にくい。ファインダーのアイシューの形が原因だと思います。

事前に確認していたので許容範囲内ですが、ひとつ良い点があるとするなら、それはファインダーをのぞいたときに、顔が液晶につきにくいこと。

②手ぶれ補正なし

いちばんの難点が、手ぶれ補正がないこと。手ぶれ補正があることで、撮影の幅が広がるのはもちろん、動画も撮影できるので、やっぱりほしいところ。

このコンパクトなボディで、動画が撮影できたら言うことなしです。これだけは本当につけてほしいと心から願っています。

③片手で持ちにくい

ときおり片手で撮影したいときがあるんですが、片手で持ちにくいのも難点です。とくにAFロックのボタンを押すのが難しいです。

このボディのフォルムだと仕方ないと思いつつ、すこしでも持ち具合を改善するため、「サムレスト」を装着しています。

サムレスト」はカメラのグリップ力をあげるためのもの。「Leica M」シリーズのカメラでもお馴染みのアクセサリーです。

コンパクト性が損なわれてしまうので、あれこれアクセサリーをつけないようにしているんですが、これだとシンプルなので煩わしくない。持ちやすさ・デザインを損なわないアイテムです。

FUJIFILM「X-Pro2」の作例

決してなんでも撮れる万能カメラではないですが、「X-Pro2」が写す画には機能面では計れない魅力があります。とくに「フィルムシミュレーション」により、撮って出しでも満足のいく仕上がりになる点も、富士フイルムのカメラを使う良さ。

ここではせっかくなので、もっとも使用頻度の高い「XF35mm F1.4 R」で撮影した「ポートレート・スナップ・テーブルフォト」の作例をお見せできればと思います。ちなみにフィルムシミュレーションはほとんど「クラシッククローム」で撮っています。

「XF35mm F1.4 R」で撮影したポートレート

ポートレートの撮影では、カメラ内の補正で理想の色味に近づくので、よっぽどのことがない限り、調整程度でいいのではないかと思わされます。

「X-Pro2」のボディのおかげもあってか、あまり気負うことなく撮影に臨めるようになりました。ポートレート撮影はもうすこし慣れていきたいですね。

「XF35mm F1.4 R」で撮影したスナップ

僕がカメラを好きになったのは、ストリートスナップの影響もあるので、これからもずっと撮り続けていきたいです。

スナップではコンパクトなボディが大活躍。撮りたいときにサッと構えて撮れるのは本当にありがたいです。海外だと画になる場所が多いので、一見何もないところでも「あ!」っと思うような写真が撮りたいです。

「XF35mm F1.4 R」で撮影したテーブルフォト

主役が際立っているものは、自然と縦構図が多くなりますね。美味しいごはんは、光がきれいに入る場所で撮ると、より一層美味しく見えます。

湯気までしっかりと写したい場合は、できるだけ背景を黒に近づけること。あとは冷めないうちに早めにいただきましょう。

最後に

書こう書こうと思いながらついには、だいぶ時間が経ってしまったレビューですが、ようやく公開できてすっきりしました。

決してオールマイティなカメラではありません。だけど、性能面では見えない魅力があるカメラだということを知っていただけると、とても嬉しいです。

性能でカメラを選ぶとあれやこれやと求めてしまいがちですが、これだけは譲れないという感性の部分で選ぶと長続きするような気がします。

どのカメラも性能面では負けず劣らずのフェーズに入ってきたからこそ、自分自身が何を撮りたいのか、何を大切にしたいのかを考え、カメラを選んでみるといいかもしれませんね。

購入前に知っておきたい基本情報

  • 【有効画素数】約2,430万画素
  • 【撮像素子】APS-Cサイズ「X-Trans CMOS IIIセンサー」
  • 【ファインダー】OVF/EVF
  • 【撮影感度】ISO200~12800(拡張モード:ISO100〜51200)
  • 【バッテリー】標準撮影枚数:約250枚(EVF)・約350枚(OVF)
  • 【撮影時質量】約495g(付属バッテリー、メモリーカード含む)

「XF35mm F1.4 R」は、AF速度は遅く心もとないですが、そのボケは一級品であり、僕が大好きなレンズです。詳しいレビューは「FUJIFILM XF35mm F1.4 R 1年使用レビュー。最初の単焦点レンズはこれで決まり【作例あり】」で書いているので、ぜひ合わせてご覧ください。

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