スリランカのアーユルヴェーダを10泊体験した感想【事前知識 / 施設 / 費用 / 過ごし方】

スリランカのアーユルヴェーダを10泊体験した感想【事前知識 / 施設 / 費用 / 過ごし方】

2019年2月23日

世界最古の予防医学、脳内のトリートメント、頭のノイズが消える、などすこし怪しい文脈で語られることも多いアーユルヴェーダ。

いつか自分も受けたいと思いつつ、期間や金額面でなかなか踏み込めませんでした。そんななか本格的に受けようと思ったのは、東京の会社を退職してからのこと。

これまで東京で働き続け、健康は二の次としていたため、常に何かしらの疲労が残り、風邪も引きやすかった。そんなボロボロな身体を完全にリセットしたいと思ったんです。

自分にとっての健康な状態とはどういうものなのかも見直したかったため、ついにスリランカでアーユルヴェーダを受けてきました。

今回はその体験をもとに実際受けてどうだったのか、事前知識や費用、施設での過ごし方など、網羅的に書いていこうと思います。これからアーユルヴェーダを受けたいという方の参考になれば嬉しいです。

スリランカのアーユルヴェーダを10泊体験した感想

結論、スリランカのアーユルヴェーダを10泊受けたのですが、体験できて本当に良かったです。本来のアーユルヴェーダの効果を体感するには、最低でも2週間〜1ヶ月継続しなければならないといわれていますが、10泊11日でもギリギリ効果を体感できたのかなと思います。

何かが圧倒的に変わったとか、スピリチュアルな体験をしたとか、そういうものは正直ありません。ですが施術中は身体が軽くなり、思考もクリアになりました。

具体的には朝の目覚めが快適なのはもちろん、物事をアウトプットする時にスピード感や量など、どんどん湧き出る感覚があり、本来の健康な状態はこういうものなのかと実感。

余談ですが、帰国直後の空港で久しぶりにコーヒーを飲んだのですが、味覚の解像度が上がり「コーヒーってこんな味がしたのか」と驚きました。その後ほとんど体調を崩すことがなくなり、今後も身体のリセットという意味でも、数年おきに受けたいなあと思いました。

事前に知っておきたいアーユルヴェーダのこと

ここからはアーユルヴェーダについて、前もって知っておきたいことをお伝えします。アーユルヴェーダは約5,000年以上前にインドで生まれ、「世界最古の伝統医学」として、今もなお継承されています。

習慣や食事の改善、天然ハーブ、ヨガや瞑想などを取り入れ、日々の生活を根本的に見直し、この先起こりうる病気を予防する「予防医学」の考えのもと、集中的に施術が行われます。

日本では「エステの一種」として捉えられることがあるアーユルヴェーダですが、エステの場合はアーユルヴェーダの一部を部分的に取り入れた物が多く、本来のものとは全く異なります。

①身体は3つのエネルギーの性質で支えられている

アーユルヴェーダの世界では、人は生まれつき「ドーシャ」と呼ばれる3つの性質を持っているとされ、火の性質「ピッタ」、水の性質「カパ」、風の性質「ヴァータ」があります。

身体のあらゆる症状はこのドーシャの働きかけがあるとされ、心身の状態や環境によって生じる体調の変化は、ドーシャによるものだといわれています。

それぞれの性質によって体質や性格に特徴があり、アーユルヴェーダ施設に行くと最初の診察で、判断してくれることがあります。

人によってひとつの性質の方もいれば、ふたつの掛け合わせの方もいて、自分自身の性質を知っておくことで、性質と合った食生活などを知れます。ちなみに僕は「ピッタ・カパ」体質でした。

これらのエネルギーのバランスが保たれている状態を「心身ともに健康であること」と位置付け、そのバランスが崩れないようにあらゆる面から整えること。それがアーユルヴェーダの療法になります。

②スリランカとインド、どっちでアーユルヴェーダを受けたらいい?

アーユルヴェーダは、インド発祥の最古の伝統医学なのですが、最も古い形で現存しているのがスリランカだといわれています。

もちろんインド(特に南インド)にも、アーユルヴェーダを受けれる施設はあります。中には1日から受けれるところや、比較的安く受けれるところもあるのですが、それでも僕は「清潔さ・ホスピタリティ・効果」の観点から、スリランカで受けることをおすすめします。

スリランカの場合は、すでに訪れたことがある人が多く、情報が豊富にある点でも、安心して行けると思います(もしインドに素晴らしい施設がある場合は、僕も興味があるのでぜひ教えてほしいです!)。

③アーユルヴェーダの費用に含まれる内容

僕が受けた施設では、10泊11日毎日療法を受けて、合計20万円ほどかかりました。ざっくり含まれてる内容としては以下の通りです。

  • 空港から施設までのタクシー送迎(行きと帰り)
  • 一人部屋の宿泊
  • 1日3食のバイキング形式のご飯
  • 毎日の施術・トリートメント・ドクター診断
  • ヨガなどのアクティビティ

10泊11日滞在した際の、夏季レートでの参考料金(※2018年7月3日時点)

  • 宿泊料金:110Euro/日(クラシックルーム)×10日間=1100Euro
  • 治療料金:80Euro/日(アーユルヴェーダ)×11日間=880Euro
  • サマー割:110Euro×5日間=-550Euro
  • 合計:1430Euro(約179,440円)※2019年2月23日時点

金額については分かっていたものの、合計金額を見たときはフリーズしてしまいました。ただ、働き始めたらなかなか時間を作れないことや、未知の体験には積極的に投資していきたいと思い決めました。

④スリランカのアーユルヴェーダ施設を決めるポイント

アーユルヴェーダはどの施設で受けるかで、施術内容や過ごし方は大きく変わってきます。僕が選んだのは、スリランカのアーユルヴェーダ施設「バーベリンリーフリゾート」。この施設を選んだ決め手は大きく3つ。

  • アーユルヴェーダ初心者がリラックスしながら施術を受けることができる環境だったこと
  • 比較的リーズナブルかつライトな施設で、すこしだけ日本語対応が可能だったこと
  • 著名人や訪れた方の口コミが良く都市から離れた海辺にあったこと

アーユルヴェーダ初心でひとりの体験だったこともあり、多少の不安はあったのですが、実際10泊11日過ごしてみて、食事は美味しく、スタッフの方もとても親切だったので快適に過ごすことができました。

ちなみにアーユルヴェーダの施設は大きく3つあるのですが、それぞれのグレードによって金額や過ごしやすさが変わってくるため、初めての方はリゾート型かライトな施設がおすすめです。

  • 高級ホテルのようなリゾート型の施設
  • 中間に当たるライトな施設
  • 電気やガス・水道がないハードな施設

僕はそれぞれのグレードで体験したい施設を選び、1泊あたりの料金を比較して決めました。リゾート型の施設は金額が予想以上に高かったので今回は除外。

ライトな施設とハードな施設の料金差はほとんどなく、今回が初めてのスリランカだったこともあり、ライトな施設にあたる「バーベリンリーフリゾート」に決めました

ちなみに施設を選ぶ際は「サバイバル時代の健康術 ~アーユルヴェーダで頭と体のバランスを整える」に書かれた施設を参考にしました。

アーユルヴェーダ施設での過ごし方

アーユルヴェーダの始まりは、診断からです。初日はまずドクターとの診断があり、主に治したい症状や改善したいことを伝え、滞在期間に応じて療法を決めていきます。

またドクターから自分自身の性格や体質、これまでの出来事などの質問を受けます。このような問診を行うことで、患者さんの体質を見極めていくようです。

アーユルヴェーダの根幹は自分自身を知ること。自分自身を知り生活習慣を整えることで、起こりうる病気を予防し、そのもとを断つという予防医学です。

ひとりひとり異なった体質を持っていて、その体質の弱みを知ることで、どんな環境でも心身のバランスをとれるようにすること。

不調の要因は体質のバランスの乱れから来るとされ、まずはその体質を見極めることから、アーユルヴェーダは始まります。

実際に受けたアーユルヴェーダの療法

アーユルヴェーダの療法は大きく3つに分かれます。症状や改善したいこと、滞在期間などを踏まえて、治療のスケジュールが組まれていきます。

  • 前処置:心身ともにリラックスさせ、体内の毒素を排出する準備をする
  • 中処置:集めた毒素を排出する。排出方法はさまざま
  • 後処置:体をクリーニングした後、元の状態に戻す。食事の改善や薬など

僕の場合は身体のデトックスと脳のトリートメントに加え、目の疲れや肩こり、腰の痛みを10泊11日で改善できないか相談しました。実際に行った療法はこんな感じです。

  1. 肩と腰のトリートメント
    小麦粉で「バスティ」と呼ばれる土手をつくり、そのなかにハーバルエッセンスやオイルを注ぎ、その箇所を温め状態をよくしていく療法です。この治療では肩と腰を温めほぐし、凝り固まった箇所を改善します。
  2. 目のトリートメント
    目のトリートメントもバスティをつくり、その中にギー(オイル)を注ぎます。そのままギーの中で目を開き洗浄、目の疲労や花粉症に効きます。目の奥までギーが染み渡っていく感じがあるのですが、不思議と目に染みません。トリートメント後はしばらく視界がボヤけるもののスッキリします。
  3. 鼻のトリートメント(ナスヤカルマ)
    鼻から薬用オイルを垂らす、鼻うがいのようなトリートメント。鼻から片方ずつ3滴ほどオイルを垂らし、奥まで吸い込んだあと喉から吐き出す療法です。鼻づまりや蓄膿症のほか、顔や頭に溜まった毒素を排出してくれるので、首から上の症状に効果があると言われてます。
  4. 身体のデトックス(クリーニング)
    食事をとらず下剤を用いて、体内の毒素を排出し、入れ替えるクリーニングです。食事をとらない間、4Lの白湯を飲み、体内を洗い、毒素を出します。1日中便意が続くので、外出できず部屋で待機。ずっとお腹を下しているので、気分は良くないですが、終われば身体が軽くなりました。
  5. シーロダーラ(脳のトリートメント)
    額と眉のあたりに温めたオイルを垂らし続ける療法。脳内のアルファ波が上がり、瞑想状態に入ることができ頭がスッキリします。脳内に思考の余白ができるイメージでしょうか。額の眉のあたりは「第3の目」「第6のチャクラ」とも言われ、エネルギーが集まっているところでもあります。

    施術中にスピリチュアルな体験をするというお話を聞きますが、それはシロダーラ自体に霊性があるからなのかもしれません。最低でも2日間は行い、その間はインターネットや読書、会話などのインプットを禁止。直射日光や風を受けることもできず、シャワーもダメなので、比較的制限の多い療法です。

アーユルヴェーダ施設での1日のルーティン

シーロダーラなどの特別な治療がない場合、上記の療法に加えて、午前中に以下のルーティンがありました。個々に合った療法・食事・薬の3つで身体を整えていきます。

  • 頭のマッサージ
  • 鍼治療
  • ハーブスチーム
  • フェイシャル・トリートメント
  • ハーブバス

アーユルヴェーダ中の1日のスケジュールも振り返ってみました。日光や風、シャワーを浴びれなかったり、電子機器を使ってはいけない期間もあったので、10日間はほぼインターネットを遮断していました。

  • 6:00:起床・ビーチを散歩 or ヨガ
  • 7:00:朝食(バイキング)
  • 8:00:読書 or のんびりタイム
  • 11:00:治療
  • 13:00:昼食(バイキング)
  • 14:00:作業(執筆や読書など) or プール
  • 15:00:特別な治療(ない場合は引き続き作業)
  • 16:00:作業(執筆や読書など)
  • 17:00:瞑想 or ビーチを散歩
  • 19:00:ディナー(コース)
  • 20:00:のんびりタイム
  • 22:00:就寝

ちなみに基本は英語でのコミュニケーションですが、日本語通訳もあります。ただし日本語能力は人によってマチマチなので、あまり当てにはせず、最低限の英語力は身につけておくといいでしょう。

アーユルヴェーダ中の食事と薬

アーユルヴェーダ中は食事と薬からも、身体を整えていきます。特別な治療以外は朝昼晩の3食で、朝昼は以下のようなバイキング形式になっていました。

  • フルーツジュース or ティー
  • スープ
  • 前菜 or サラダ
  • メインディッシュ
  • デザート

アーユルヴェーダ中の食事は、いろいろと我慢することが多いのかなと思ったんですが、どれも美味しく野菜から揚げ物、スイーツまでおいしくいただきました。

アーユルヴェーダの薬はとても大切な役割を担っています。その中でも主に飲んでいた薬が、エネルギーをつける液体の薬と消化を促す粉末の薬ふたつ。これがとにかく苦い…。

薬の時間と回数は厳密に定められており、毎朝6時から飲み始め夜の9時まで時間指定があったので、毎日根気よく飲み続けていました。

自由時間は読書・プール・海辺の散歩など

アーユルヴェーダ中はできることが限られてくるため、施設内の設備やイベントなども充実しています。読書や散歩など、基本的にぼーっとしてることが多かった気がする。贅沢な時間でした。

瞑想・ヨガ・アーユルヴェーダの講義などのアクティビティ

また定期的に瞑想やヨガを行なったり、アーユルヴェーダの講義もありました。そのほか観光ツアーやコンサートなど、毎週催し物が企画され、患者さんを飽きさせない工夫がされていました。

アーユルヴェーダ中にあってよかったもの、あったらいいなと思ったもの

①不要なパンツ

アーユルヴェーダ中、施設によっては男性はパンツ一丁で治療を受けるのですが、その際にオイルがパンツに染み込み、洗ってもなかなか取れなくなるので、使用したら捨てれる安価なパンツがあればいいなあと感じました。

②紙の本 or Kindle端末

アーユルヴェーダ中は時間ができるので、読書する時間も自ずと増えたのですが、iPhoneの電子書籍だと目が疲れて捗らないことがありました。そんなときに紙の本、もしくはKindle端末があるとよかったです。

③ノートとペン

アーユルヴェーダ中は普段時間がなくて手をつけれないことをする絶好の機会。そのひとつが内省し、自分の人生を考えてみることなのかなと。

読書や人との雑談を含めた情報のインプットを禁止されることもあるのですが、すでに頭にある思考をアウトプットする作業は大丈夫だと言われ、A4サイズのノートによくいろいろと書き出していました。

最後に

冒頭にも述べたように、アーユルヴェーダの根幹は自分自身を知ること。すでにかかった病気を治す療法もありますが、本来は起こりうる病気を予防し、そのもとを断つという予防医学です。

今回アーユルヴェーダを受けたことで最も良かったのは、自分自身の身体のことを知り、日々の違和感や不調を察知し、しっかりと向き合い整える考え方が身についたことかもしれません。

ちなみにアーユルヴェーダを受けてからもうすぐ1年が経ちますが、いまだに1日休むような体調不良になったことはありません。

正直なかなかのお値段なので、万人におすすめできるものではありません。

ただもし、忙しさから解放されず健康を後回しにしてしまっている方がいるなら、いちど自分をメンテナンスする機会を設けてみてもいいんじゃないかなと思います。

僕も2年に1回ぐらいのスパンで行きたいと思う今日この頃です。