FUJIFILM「X-Pro2」5年使用レビュー。撮影道具としての魅力が詰まったカメラ

FUJIFILM「X-Pro2」5年使用レビュー。撮影道具としての魅力が詰まったカメラ

当時長期の海外一人旅で出ようと決め、その相棒となるカメラを見つけるため訪れた大阪梅田のヨドバシカメラ。使い古されたボロボロの「X-Pro2」が掲載された冊子を見て、心惹かれたことを今でも覚えています。

そこから日本、海外問わず「X-Pro2」を使い続け、気づけば5年が経とうとしています。

機能面が抜群に秀でているわけではない。性能だけで見れば、他にもたくさんの選択肢があるのは周知の事実。それでもこのカメラを長年使い続けているのは、言葉で形容しがたい魅力が詰まっているからです。

富士フイルム「X-Pro2」とはどんなカメラなのか。今回は5年使用して感じた魅力や気になるところ、作例などを、余すことなく紹介します。

FUJIFILM X-Pro2はどんなカメラ?

  • 有効画素数:約2,430万画素
  • 撮像素子:APS-Cサイズ「X-Trans CMOS IIIセンサー」
  • ファインダー:OVF/EVF
  • 撮影感度:ISO200~12800(拡張モード:ISO100〜51200)
  • バッテリー:標準撮影枚数:約250枚(EVF)・約350枚(OVF)
  • 撮影時質量:約495g(付属バッテリー、メモリーカード含む)

X-Pro2は同じフラッグシップモデルであるX-H1やX-T2と同等のセンサーを持つカメラ。Leica Mシリーズと同じレンジファインダースタイルのデザインが特長の、フラッグシップ機のひとつです。

小ぶりな単焦点レンズと相性がよく、ストリートスナップに適したカメラでもあります。今では後継機であるX-Pro3が発売されてますが、引き続きこのカメラを使い続けています。

FUJIFILM X-Pro2を選んだ理由

当時は長期の海外一人旅に出るため、カメラ機材をより軽く小さいものに切り替えたいと思い、一眼レフからミラーレスカメラの乗り換えを検討していました。

そんなとき目にしたX-Pro2のレンジファインダースタイルのデザインと、実際撮ってみたときのシャッター音や写真の色味に惹かれ、購入を決めました。

X-T2ではなくX-Pro2を選んだ決め手

同じフラッグシップ機にX-T2もありますが、基本的にセンサーは同じなので、撮れる写真はほとんど変わりません。いちばんの違いはデザインや操作性。

とくに連写性能やチルト式液晶がある点など、トータルの機能面は「X-T2」が良い。しかしそれらの機能差は許容の範囲内でした。

長く使い続けるカメラはどちらかと考えたとき、使い込めば使い込むほど味が出るデザインなど、機能以外の魅力が多く詰まったX-Pro2に軍配が上がりました。

  • レンジファインダースタイルのカメラがほしかった
  • デザインやシャッター音を含め、撮りたいと思わせてくれるカメラだった
  • 持ち運びがしやすく威圧感のないカメラがほしかった

最終的な決め手はこんな感じでしたが、購入してからというもの、撮影する予定がない日も含め、持ち歩く頻度が多くなりました。とくに気軽にスナップ撮影をするようになったのは大きな変化です。

FUJIFILM「X-Pro2」の魅力

①空間に溶け込む黒塗装に包まれた「マグネシウム合金のボディ」

一眼レフカメラの欠点は、撮影を生業としていない人からすると、コンパクト性に欠けることや、多少の威圧感を与えてしまうこと。そんな悩みを解消してくれるのが、レンジファインダースタイルのカメラだと考えます。

凹凸のないフラットな形なので、普段使いのバッグでも持ち運びやすい。装いや空間に溶け込むデザインは、他のカメラには形容しがたいものだと感じます。

また、防塵・防滴・耐低温構造はもちろん、堅牢性も申し分ない、フルマグネシウム製のボディ。ひんやりとした金属の感触が、手になじみます。

黒のフラットな塗装に包まれたマグネシウム合金のおかげで、塗装が剥がれてきても様になっていく様子は、撮る楽しみを増幅させてくれます。

②直感的に操作できる「物理ダイヤル」

シャッタースピード・露出・ISO感度など、基本的な設定はすべて、物理ダイヤルで調整します。すべての設定を目視で確認できるので、あらゆるシーンで素早く撮影できます。

特にファインダーを覗きながら、素早く露出を合わせれるのが便利。シンプルな操作性に慣れてしまうと、なかなか他のカメラに戻れません。この操作性の魅力は富士フイルムならではです。

そのほか、タテ・ヨコ・ナナメに素早く、直感的にフォーカスポイントを指定できるフォーカスレバー。

SDカードを2枚挿入できるデュアルカードスロットも搭載。僕はスロット1にRAW、スロット2にJPEGを保存するようにしています。

③撮りたいと思わせてくれる「シャッター音」

カメラを選ぶとき、マニュアルに書かれた機能面ではなく、撮りたいと思わせてくれるシャッター音かどうかが、大切だと考えます。

どれだけきれいに撮れたとしても、気分が上がらなければ、撮ることすらままならないからです。その点X-Pro2はちょうどいい。一眼レフほどの豪快さはないけれど、チープではない。

スマホでも十分きれいな写真が撮れるようになったいまだからこそ、画質に加えて、撮る楽しみを与えてくれるカメラを使っていきたいと思いました。

FUJIFILM X-Pro2の気になる点

①ファインダーがすこし見にくい

X-T2と比較して感じたことですが、X-T2や一眼レフと比べると、若干ファインダーが見にくい。ファインダーのアイシューの形が原因だと思いますが、事前に確認していたので問題なし。慣れの問題です。

ちなみに良い点は、ファインダーのポジションが左側にあるので、窓をのぞいたときに、顔が液晶につきにくいこと。カメラの液晶が皮脂で汚れるのを少し軽減できます。

②手ぶれ補正なし

いちばんの難点が、手ぶれ補正がないこと。手ぶれ補正があることで、撮影の幅が広がるのはもちろん、動画も撮影できるので、やっぱりほしいところ。このカメラに手ぶれ補正を望むのは違うような気もするのですが…。

本当はこのコンパクトなボディで、動画が撮影できたら言うことなしです。思想的に実現することはないと思いますが、このスタイルで写真と動画の両方カバーできるカメラが実現することを心から願っています。

③片手で持ちにくい

たまに片手で撮影したいときがあるんですが、片手で持ちにくいのも難点です。とくにAFロックのボタンを押すのが難しいです。

このボディのフォルムだと仕方ないと思いつつ、すこしでも持ち具合を改善するため、サムレストを装着しています。

サムレスト」はカメラのグリップ力をあげるためのもの。Leica Mシリーズのカメラでもお馴染みのアクセサリーです。

コンパクト性が損なわれてしまうので、極力アクセサリーをつけないようにしているんですが、これだとシンプルなので煩わしくありません。

FUJIFILM X-Pro2の作例

決して何でも撮れる万能カメラではないですが、X-Pro2が写す画には機能面では計りきれない魅力があります。とくにフィルムシミュレーションにより、撮って出しでも満足のいく仕上がりになる点も、富士フイルムのカメラを使う良さでづ。

ここでは最も使用頻度の高い「XF35mm F1.4 R」で撮影したポートレート・スナップ・テーブルフォトの作例をお見せできればと思います。ちなみにフィルムシミュレーションはだいたい「クラシッククローム」で撮っています。

X-Pro2 + 35mm F1.4 Rで撮影したポートレート

ポートレートの撮影では、カメラ内の補正で理想の色味に近づくので、よっぽどのことがない限り、調整程度でいいのではないかと思わされます。

X-Pro2のボディのおかげもあってか、あまり気負うことなく撮影に臨めるようになりました。ポートレート撮影はもうすこし慣れていきたいです。

X-Pro2 + 35mm F1.4 Rで撮影したスナップ

僕がカメラを好きになったのは、ストリートスナップの影響もあるので、これからもずっと撮り続けていきたいです。

スナップではコンパクトなボディが大活躍。撮りたいときにサッと構えて撮れるのは本当にありがたいです。海外だと画になる場所が多いので、一見何もないところでも「あ!」っと思うような写真が撮りたいです。

X-Pro2 + XF35mm F1.4 Rで撮影したテーブルフォト

主役が際立っているものは、自然と縦構図が多くなります。美味しいごはんは、光がきれいに入る場所で撮ると、より一層美味しく見えます。

湯気までしっかりと写したい場合は、できるだけ背景を黒に近づけること。あとは冷めないうちに早めにいただきましょう。

最後に

書こう書こうと思いながら、だいぶ時間が経ってしまったレビューですが、ようやく公開できてすっきりしました。

何度も言いますが、決して万能なカメラではありません。しかしスペックだけでは語れない魅力があるカメラなのだと知っていただけると嬉しいです。

性能でカメラを選ぶとあれやこれやと求めてしまいがちですが、これだけは譲れないという感性の部分で選ぶと、長く使い続けるカメラに出会える気がします。

どのカメラも性能面では負けず劣らずのフェーズに入ってきたからこそ、自分自身が何を撮りたいのか、何を大切にしたいのかを考え、カメラを選んでみるといいかもしれません。