ささやかな贅沢を感じた瞬間|十和田移住体験記②

どこかの地で暮らす。それも期間限定で。

今までできないと思われてきたことが、すこしずつできるようになってきました。最近はいかにアートと社会の接点を持つか、いかに人生を面白がれるか、そんなことを考える毎日でございます。

さて、十和田移住体験記第2弾。

旅行でもなく移住でもなく、その間にあたる移動生活を実践して感じた、十和田暮らしの記録。今日はささやかな贅沢を感じた瞬間についてすこし。

季節の変わり目に出会えた散歩

初めての街に来ると、まずは散歩する。

どこにどんなお店があるとか、すぐ近くにこんな建物があったとか、歩くたびに新しい発見がある。とくに日本は、そんなことが多い。

例えば、季節の変わり目に出会えること。

10日ほど前に見た緑を含んだ木の葉が、綺麗な秋色に染まっている。下に目をやるとサクサクの落ち葉。街に色が溢れ、目が嬉しい。

なにも目に見えるものだけじゃない。あるとき出会った美しい光。

おなじ時間にまた出会えると、カメラ片手に向かった場所があった。だけどすでにそこから光が去っていたこと。時間が持つ尊さとその儚さに、気づかせてくれた。

図書館で過ごすひととき

家から歩いて10分ほど、「十和田市民図書館」がある。

外観はもちろん内装も美しい、光の入り方がとても綺麗な空間だった。

お昼は読書や調べ物をする年配の方々、夕方は自習に励む学生たちで賑わう。十和田の人たちにとって、なくてはならない場所だ。

印象的だったのは夜の帰り道。室内からこぼれるオレンジ色の明かりが、暗がりを優しく照らす光景だった。

そんな景色を見たくて、夜までよく作業していた。

図書館で作業するのは学生ぶり。朝から晩までずっと図書館にこもりながら、勉強していた日々を思い出す。

あの頃は図書館で勉強なんて、今しかできないと思っていたけど、全然そんなことはなく、なんなら今の方が楽しい。人生わからないもんだなと思う。帰り道の紅葉が、とても綺麗だった。

十和田生活で外せない銭湯

暮らし始めると、とくに意識せずともなんとなくルーティンが、形になっていく。一日に二回は散歩に行くとか、作業は図書館でするとか、夜はみんなでご飯を食べるとか。

そんな十和田生活でも、欠かせないものが「銭湯」だ。

湯船に浸かる文化があってよかった。平日の夜にこんな幸せな気持ちでいいのかと。日々のルーティンとまではいかないけど、週に何度も訪れるほど、銭湯は僕らの生活に馴染んでいた。

家から徒歩20分。湯冷めはしてしまうけれど、火照った体をひんやりとした空気が包み込む夜も、また心地いい。

本来はしていたはずなのに、いつの間にかできなくなった生活を、いま取り戻そうとしている。十和田の生活はそんな豊かなこころを取り戻す、リハビリ生活のようにも感じた。

どこでもできることを、あえてやってみる。それが僕の贅沢なのかもしれない。