台湾移住して5年、初めての台北暮らしを振り返る

台湾移住して5年、初めての台北暮らしを振り返る

2025年3月となり、台湾に移住し丸5年が経ちました。

台北に来た当初は、こんなに長く住むとは思わなかったですが、これまでホームシックになることなく、何とか生活できています。ここまで来れば「第二の故郷」とも言えそうです。

今回は、5年間台北に住んだのリアルな感想として、「気候・食・住まい・働き方・お金・語学・交通・治安」の8つに分けてお伝えしていけたらと思います。

まず、そもそもなぜ台湾に移住したのかなんですが…

台湾に移住した経緯

もともとは関西の大学を卒業後、新卒としてWebマーケティング会社に入社、東京で3年半ほど働いていました。

その後は東南アジアを一周したり、ネパール、インド、スリランカと縦断の旅をしたり、帰国後は日本の各所を転々としながら、2020年1月末に台北に移住しました。なぜ移住先が台湾だったのか。

学生の頃から旅が好きだったので、その頃から漠然と将来海外で働いているイメージはあったんですが、大学在学中、中国の北京に短期留学させてもらったことがあったんですね。

そこから中華圏に興味を持ち、香港や台湾にも訪れました。特に台湾は一周するために長く滞在したので、その旅で感じたことや人との出会いを含め、旅の体験としてずっと記憶に残っていたんです。

その後訪れた国でいくつか移住したい街があったのですが、台湾に仕事で行く機会があり、これは台湾に縁があると感じ、移住することにしました。

特にその頃はコロナの影響で、徐々に渡航が厳しくなる気配があり、数年海外に出れなくなる可能性があったので、移住の可能性が高かった台湾に流れを感じて、まずは台湾に行こうと決めた感じでしたね。

ここでは台湾移住をテーマに書いていますが、台北での生活をベースにお伝えします(台中や高雄など別の街は、台北と異なる部分もあるため)。

台北の気候

まず台北の気候ですが、日本ほど明確な四季はなく、一年中温暖で高温多湿、とにかく雨が多いのが特徴です。3週間ぐらい平気で雨が続いたりするので、薄手の撥水パーカーと折り畳み傘は常に持ち歩いています。

暑さ自体は東京とそんなに変わらないと思いますが、夜もジメジメとした蒸し暑さが続くので、なかなか慣れません。部屋によっては除湿機やサーキュレーターがないと、すぐにカビが生えるので購入必須。

あと、台湾では一週間の間に四季がぐるぐる回ってる、みたいな話もあるんですが、気温の変化が激しいです。昨日蒸し暑かったのに今日急に寒くなったりするので、台北に来られる方は防寒具必須です。

1年通して夏の時期が長いので、日中は外出するのが億劫になるし、夜もジメジメしていて、カラッとした気候の街が羨ましくなります。もう5年住んでますが、総じて台北の気候は苦手かもしれません。

台湾の食

もともと台湾グルメが好きだったので、食では特に困ったことはありません。ただ台湾特有の八角や肉鬆、臭豆腐、パクチーなど苦手なものは結構あるので、そういうものは避けて生きています。

ただ、なかなか野菜が摂れず、バランスが偏ってしまうのが難点。台湾の料理って茶色系の炒飯や魯肉飯、雞排のような脂っこいものが多いので、食物繊維が摂りにくいんですよね。なので腸が荒れやすい。

解決策としては、時々自炊するなどして、栄養と食べる量を調整しています。あとは「自助餐」といったバイキング形式のお店に行ったり、鍋のお店に行ったりして、何とか栄養バランスを保っています(おそらく)。

あとはどうしても日本食が食べたくなる問題。海外だと日本食がどうしても高くて、僕が日本で食べていた金額感じゃなくなってきてるんですが、それでもラーメンや寿司が食べたくなる時がある。

だけど、ラーメンと寿司って結構混んでるんですよね。特に人気のラーメン店は行列に並ばないといけない。食べたいときに気軽に食べられないのは少しストレスです。ちなみに最近はもう円換算せず食べるようになりました。

台北の住まい

台北の住宅事情は前提条件によって異なるので、台北市内の1人暮らしの賃貸について書きます。まず率直に書くと、台北の家賃は日本と比べて高いですが、物件のクオリティは日本より低いと感じます。

例えば、当時僕が住んでいた東京の部屋が、7畳のワンルーム、キッチンあり、シャワートイレ別で7万円ぐらいだったんですが、台北市内で同クオリティの部屋に住むと、月に10万円以上はするはずです。

そもそも台北市内の賃貸は、安ければ安いほど、よく分からない間取りの部屋が多かったり、キッチンのない部屋が一般的だったりするので、家賃というより質に大きな差を感じます。

賃貸サイトで日本と同じぐらいの感覚で住める部屋は、台北市内だと20,000元(約90,600円)ぐらいから見かける印象です。台北市の隣の新北市まで出れば、もう少し家賃は安くなります。

台湾で初めて住んだ部屋

ちなみに僕は今まで3回引っ越してるんですが、台湾移住当初はソーシャルアパートメントという、キッチンなどは共用で、シャワーとトイレがある小さなワンルームの部屋に住んでいました。そこが家賃18,000元(約81,600円)ぐらいでした。

移住2年目に住んだ部屋

移住2年目は、新北市内の広めのワンルームに引っ越しました。そこは最寄り駅から15分ぐらい離れてたんですが、家賃22,000元(約99,700円)ぐらいでした。3年目は台北市内の立地の良い場所に引っ越し、そこは家賃26,500元(約120,100円)ぐらいでしたね。

移住3年目に住んだ部屋

台湾の部屋探しは、運とタイミングの要素が強く、良い物件は一瞬でなくなってしまうので、探される方は、毎日賃貸サイトやSNSを見て、気になった部屋があればすぐに連絡して内見に行きましょう。

詳しい台北賃貸の探し方については、過去の記事に書いたので、台北で部屋探しをされる方は、ぜひこちらも合わせてご覧ください。https://note.com/embed/notes/n11dd7d04421b

台北での働き方

まず前提として、日本人が台湾で働く場合、大きく2パターンあります。台湾の現地企業で働くか、日系企業で駐在員として台湾で働くか。何れにしても「就労ビザ」を取得する必要があります。

配偶者ビザや起業ビザ、ワーホリビザやデジタルノマドビザなどもありますが、一旦そちらの話は除いて書きます。そして、就労ビザの取得条件に含まれる学歴と職務経験は以下になります(2025年3月時点)。

・4年制大学卒業者:2年以上の職務経験
・高等専門学校または短期大学卒業者:5年以上の職務経験

よく新卒で台湾で働けるか聞かれることが多かったんですが、新卒では働けません。ただ、台湾の大学を卒業した方だと、新卒で台湾企業に就職可能です。ちなみにその場合は、給与水準も台湾人と同じ条件になります。

就労ビザ関連のお話は、かなり端折って書いているので、必ず自分自身で調べてみてください!

そして、台湾での仕事の探し方ですが、現地採用の場合はまず「104」という台湾の就職サイトを見て探すのが一般的です。Facebookグループで採用募集の投稿が流れてくることもあるので、一般的な探し方は賃貸と似ているかもしれません。

ちなみに僕はWantedly経由で台湾の企業に就職しました。詳しい経緯は「3年半働いた台湾の会社を退職しました」をご覧いただくとして、いろんな方がいろんな経緯で働かれているので、まず台湾で働いている日本の方にお会いして、話を聞いてみるのはありだと思います。

台湾で働いてた会社

実際台湾では、社員100人前後、台湾人が9割、日本人が1割ぐらいのIT関連の会社で働いてました。ベンチャー気質の会社だったので堅苦しい感じもなく、前職の東京の会社と大きな差は感じなかったです。

強いてあげるなら、日本より上下関係の境界がないので、年齢役職関係なく、フラットにコミュニケーションするのが一般的でした。結構ダイレクトに物事を言い合うことが多いので、それに慣れない方は辛いかも。

僕はもともとそんなに言い合うタイプではなく、語学も全然堪能ではなかったので、自分の意見をしっかり言ったり、報告したりする場は割と苦しかった思い出があります。特に会議で発言しないといけない時など、会話のラリーを何度かする必要がある時は辛かったです。笑

あと、台湾では転職回数が結構多いイメージがあります。個人のライフスタイルや考え方、働き方を重視している人が多いので、合わなければ割とすぐに辞める人は多かったのかなと。

でも最近日本の傾向も同じような気がするので、あまりギャップを感じることは少なくなってきました。会社によって環境は全く違うと思うので、就職する前に実際の会社の雰囲気は直に感じておくのが大切です。

台北での金銭面

まず円安の影響でだいぶ物価が上がったので、昔は1台湾ドル4円で計算してたのが、今は5円で計算しています。日本でも物価は上がりましたが、それでも日本へ帰国した時に感じる日本の物価の安さと商品・サービスのクオリティの高さには驚きます。

昔は台湾ドルを日本円換算して、この金額だったら日本の方が全然お得だなと思い購入を踏み止まることが多かったですが、最近はもう円換算せず物価の上昇を受け入れています。笑

そして台湾の給与事情ですが、まず日本と比べると全体的に低く、大学新卒初任給の平均月収で約35,000元(約158,700万円)です(2024年時点)。ただ、業種によって全く異なり、IT・マーケティング系の業種だと、35,000元後半〜40,000元後半からスタートの方が多かったです。

外国人は現地採用の場合、就労規定で約48,000元(約217,600万円)と定められています。こちらも職種によって異なりますが、現地のIT企業に勤めていた自分の経験からすると、最初は5〜6万元ぐらいから始まり、30代の同世代だと7〜8万元以上ぐらいの方が多いと思います。

就労規定により、日本人は台湾人よりも給料が高い状態からスタートすることが多いので、その分働き方がシビアに評価されることもあり、結果重視で判断されることもあるでしょう。

https://youtube.com/watch?v=8X4mJt3Gpxg%3Frel%3D0

過去の動画で同僚と働き方について話した動画があるので、より詳しく知りたい方はご覧ください!

ちなみに数字だけで見ると、台湾人の平均月収は低く感じますが、僕の周りでは副業している方が多く、トータルの月収はあまり日本と差はないようにも感じます。特に学生の頃から投資の勉強を始める方も多く、金融リテラシーは日本よりも高いのではと感じました。

何れにしても、もし金銭的な優先度が高い場合、駐在員としての就職を目指すか、そもそも台湾で働くという選択肢は外したほうがいいかもしれません。もしくは別で収入を得る方法を確保する必要はありそうです。

台湾での語学面

台湾では「台灣華語」という言語が主に話されていて、基本的には中国語ベースですが、繁体字かつ、台湾独自の言い回しやイントネーションがあり、中国で話されている中国語とは少し異なります。

僕自身はもともと大学で中国語を勉強しており、北京に短期留学した経験があったので、最初はよく使われている単語や発音が違い、慣れるまで少し時間がかかりました。

あとは住んでいて時々耳にするのが「台語」。よく年配の方同士で会話されているのを耳にします。その他にも台湾にはいろんな言語が存在するのですが、ここでは省略します。

ここでは中国語と区別するため、言葉を「台灣華語」に統一します

もともと大学で中国語を学んでいたものの、卒業後は全く使わなくなり、7年目にして再び触れることになります。就職が決まってから台北に移住するまでに1か月ほど時間があったので、文法だけは学んで行きました。

実際に移住してからは、言葉が通じない状況はなかなか辛かったです。聞き取れないから答えられないのはもちろん、言いたいことは頭にあるのに、すごく稚拙な伝え方をしてしまい、何も伝わらないことが多かったです。

仕事で言語は身に付けようと思ってましたが、仕事は結果を出さないといけないので、語学も一緒に学ぶ余裕がない。結局仕事では伝わらないことの恐れみたいなものが勝ってしまい、だいぶ心もすり減りました。

なので、仕事以外に失敗してもいい場所で、なるべくいろんな人と会って話す機会を作りました。僕にとっての言語上達の鍵はとにかく誰かと話すことだったので、言語の間違いを気にせず話せたり、知らない言葉を遠慮なく聞ける友達や彼女ができたことで、大きく上達した気がします。

今でも言語は引き続き苦戦しており、英語と台灣華語には触れています。特にビジネス会話は日常会話よりレベルが何段階も上がるので、語学は一生勉強だと思います。僕自身はいろんな国の人と話すのが好きなので、AIが発達しても、語学に関わることは趣味としてずっと続けていくと思います。

台湾の交通事情や治安

まず交通費は全体的に日本より安いです。MRTでの移動が便利ですが、タクシーも比較的安いので乗りやすいです。バスは運転が荒いので苦手ですが、電車だけでは行けないところまで網羅しているので、慣れると便利です。

僕が最も好きな移動手段は、レンタルサイクルのYouBike。台北は自転車で市内の端から端まで行けるし、台北は川沿いを走るのが気持ちいいので、夜はよくYouBikeで走ることが多いです。

あと台北から南部の高雄に行くのも、新幹線で1時間半あれば行けてしまうので、全体的に移動によるストレスがあまりないのは、かなり暮らしやすさに直結しているのではないかと感じます。

番外編としては、台北から東南アジアなどの国へのアクセスも良く、日本から東南アジアへ行くよりも、若干航空券が安くなるので、海外旅行好きの人にとっては嬉しいかもしれません。

一点注意してほしいのは、車やバイクの交通量が多く、事故が多発していること。特に台湾の車やバイクは車間距離が狭く、飛び出してくるケースが多いので、日本と同じ感覚で歩くのはやめましょう。

台北の治安は、夜市など比較的夜遅くまでお店がやっていたり、老若男女問わず遅くまで外に出歩いている感覚なので、あまり人気のない感じがしないので、そういう点ではあまり治安の悪い感覚はありません。

ただ、夜市でもスリがあったり、それなりに事件もあるので、他の国の海外旅行と同様、夜遅くに人気のないところは歩かない、人が混雑する場所では持ち物に意識を傾けるなど、自分の身や持ち物は守るようにしましょう。

5年住んでみて台北どう?

台北は5年も住んでいると、だいぶしっくりくるようになったというか、台北の生活に馴染んだ気がします。

人が親切で、ご飯が美味しくて、カフェが多くて、山や海が近くて、、と好きなところはいろいろありますが、いちばん暮らしやすさを感じるのは、どこへ行くにしても、コンパクトにまとまっていて移動しやすいことです。

程よい距離感でいろんな人との交流も増えてきて、台北は自分にとってはリラックスできる街だなと感じます。

ちなみにいつまで経っても慣れないことは、「とにかく蒸し暑いこと、雨の日が多いこと、Gは避けられないこと」です。たぶんGが9割ほど占めていると思います。。

最後に、単純な暮らしやすさでいうと、言語的にもサービスの質的にも、日本の方が圧倒的に暮らしやすいのは間違いありません。

ただ、どの国や街にも暮らしにおける良い点やイマイチな点はあり、それを受け止めた上で自分なりのライフスタイルを作っていくのが、海外生活の大変なところであり、醍醐味でもあると思います。

そこに面白みを感じない人は、台湾に限らず長期の海外生活は厳しいかもなあと感じます。なので、もし台湾移住を検討されている方は、まずオフシーズンに数週間ぐらい滞在してみることをおすすめします。

僕自身もこれまで移住したいと思った街には、数週間単位で訪れ、実際に暮らすように旅していました。同じ国であっても街によって全然異なるので、複数の街を行き来してみて比べてみるのがいいと思います。

その点では台湾は日本から非常に来やすいので、ぜひまずは台湾に滞在してみることから始めてみてください。

追記:2025年8月29日

今回の記事の動画ver.も公開したので、良かったら観てみてください!